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未来志向のエネルギー政策

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原発には夢がない。過去に引きずられて、未来志向を失っているに等しい。原発の過去をしっかりと反省し、損切りし、未来のエネルギーに向かって欲しいものだ。これ以上の電気代の値上げは数多くの企業、また、全人口の15%に達していると言われている飢餓世帯には、それこそ死活問題なのだから。

・アベノミクス効果に陰り?

アベノミクス効果に陰りが見えてきた。先週発表された6月の鉱工業生産速報値は前月比3.3%減の96.7だった。前月比の低下は2カ月ぶり。基調判断は「横ばい傾向にある」から「弱含みで推移している」に引き下げられた。

先週には6月の新設住宅着工戸数も発表されたが、前月比では1.3%増だったものの、前年比では9.5%減。6月の建設工事受注は前年比9.3%増だったものの、5月の13.7%増から大幅に減速した。また、6月の全世帯主要品目の消費合計は前年比5.1%減と、5月の前年比4.2%減からさらに悪化した。

異次元緩和によるインフレ政策は、物価上昇面では効果を表しているが、それがかえって国民の生活を苦しめる結果となっている。6月の残業代を含む現金給与総額は前年同月比0.4%増と4カ月連続で伸びたが、物価の上昇を差し引いた実質ベースでみると、前年同月から3.8%減った。

今後の日本経済の先行きに関しても、いくつかの懸念材料が指摘されている。海外発の懸念材料はさておき、一向に進まない構造改革、規制緩和。一部の業態で顕著になってきた人手不足。エネルギー価格、電気代の値上がりなどだ。他にもいろいろあるが、今回は電気代の値上がりを取り上げる。

・電気代が重荷に

電力7社は前回の本格改定で企業向け電気料金を7~17%程度引き上げた。エネルギー白書によると、企業が支払った電気料金、電力1キロワット時あたりの平均単価は2010~13年度にかけて28%上昇した。家庭の上昇幅は19%だった。

電力会社はコストに上乗せして電気代を請求できるので、6社が黒字となった。東電によれば「コスト削減を徹底」したかららしい。確かに、事故処理や保障費などの数兆円もの莫大な経費は政府(=国民)に押し付け、さらに電気代を値上げすれば、黒字にならない方が不思議だ。

赤字の北電は電気料金の再値上げを経済産業省に申請する。値上げ幅は家庭向けを17.0%、企業向けを22.6%とし、11月の実施を目指す。北電は昨年9月、泊原発1~3号機が2013年12月以降に順次稼働すると想定し、家庭向け料金を7.73%上げた。泊原子力発電所の再稼働が遅れたため、昨年9月に続く値上げに踏み切る。泊原発の再稼働は、2015年11月以降に想定しているようだが、再稼働が遅れれば、更に値上げする見込みだ。

各地で原発再稼働へ向けての安全調査が、民間企業では考えられないようなコストと時間をかけて続けられているが、福島第2原発の事故から3年半になろうとするのに、一カ所も再稼働できていない。それも当然で、日本人の命や、土地、農林水産業、旅行産業、計画停電など、産業基盤を決して危機に陥れないような安全基準を満たすには、コストがいくらかかっても足りないからだ。それを電気代や税金に転嫁すれば、日本経済は破滅に近い打撃を受ける。

とはいえ、再稼働が方針の間は、他電源への本格シフトもできず、いたずらに再稼働を引き伸ばし、電気代を上げ続けている。

そこで、安全基準はほどほどにし、再稼働を決めた九電の川内原発のように、万一の原発事故時には甲状腺被曝を防ぐために、安定ヨウ素剤を原発から半径5キロ以内の住民に配るという「時間とコスト面から現実的な」対策で再稼働が安全とした。

しかし、原発が絶対安全ならば、安定ヨウ素剤を配るのはコストの無駄遣いだ。それでも万一の場合を想定するのなら、甲状腺被曝だけでなく、福島第2原発の事故がもたらしたすべての被害が、川内原発でも起きうると想定すべきだ。福島の事故でも、安定ヨウ素剤を事前に配布さえしていれば、他には何の被害もなかったと考えているのでなければ、政府や九電の行っていることは欺瞞どころではなく、再稼働の単なるゴリ押しだ。

政府が、安全対策コスト的に再稼働がままならない原発再稼働を、エネルギー政策としていることで、日本はエネルギー問題が宙ぶらりんとなり、経済の足を引っ張る事態になっている。私などから見れば、政府も電力会社も、原発問題で思考停止状態に至っている。かって、不良資産を損切りできずに破綻した、数多くの金融機関やファンドのデジャブを見るようだ。


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